それアウトです!

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旦那さん、働いてないの?

企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言やしぐさがきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードや態度から、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。

  • アンコンシャス・バイアス
  • ジェンダー・バイアス
  • コンプライアンス違反
更新

「夫は大黒柱として家計の主な収入を得て、妻は補助的に働くのが普通」というアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)は、令和の時代になっても残っている。今回取り上げたキーワードも、アンコンシャス・バイアスが根底にある発言の一例だ。職場で遅くまで女性がバリバリ働くさまを受けて、「旦那さん、働いてないの?」といった発言をするのはNGだ。

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性別による役割分担意識は、年代や地域性、育った家庭環境などによって醸成される。言った側は相手を傷つける意図はなく、単に夫の仕事を聞きたいケースもある。しかし「働いてないの?」と言われた側は、「働いていない駄目な夫」というニュアンスで受け取る恐れがある。従業員の家庭事情に安易に踏み込むのは避けたい。
男性従業員が遅くまで働いているからといって、「奥さん、働いてないの?」とは聞かないだろう。男女を置き換えたときに違和感がある言葉は、ジェンダー・バイアスが隠れているケースがあるので気を付けたい。

家庭事情に踏み込まない

「遅くまで(早くから)無理しなくていいよ」と何気なく発した言葉も、家庭事情に関わるケースがある。子育てや介護をしながら働く従業員をねぎらうつもりの声がけが、負担に感じさせる場合もある。

家族のケアをするライフステージにある人は、「出勤時間が遅れる」「残業ができない」「早退や欠勤が増える」などで引け目を感じることが多い。早退を申し訳なく思っているときに「無理せずに早く帰ってね」と言われると、安心する人がいる一方で、心苦しくなる人もいる。これは個々人の性格や状況、環境で異なる。

声がけは、「顔色がひどく悪い」「ミスが極端に増えた」など、健康面や業務に支障が出たときに、「以前と違うから心配だよ。なにかあった?」と尋ねるのが好ましい。上司には従業員の安全配慮義務があるからだ。

従業員から家庭の事情を相談されたら、真摯に受け止めて一緒に対応策を検討する。プライベートな話になりがちなので、「無理に話さなくてもいいからね」と相手の選択権を明言して安心感を与えるのも重要だ。

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監修

稲尾 和泉

クオレ・シー・キューブ 取締役

2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本キャリア・カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など