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時事ニュース
これからの移動は電気が主流!?
街中を疾走する電動モビリティ
街中を歩いていると、電動キックボードがさっそうと通り過ぎていく......。こんなシーンを目にすることが珍しくなくなった。電動キックボードをはじめ、1~2人乗りの電動モビリティ(移動手段)の利用者が増え、大きなトレンドになっている。
- シェアリングサービス
- 改正道路交通法
- 電動モビリティ
高齢化の進展、交通需要の増大、環境問題といった課題に対応するため、社会が多様なモビリティを確保する必要性が叫ばれるようになった。そのアイテムの1つが、電動キックボードだ。
電動キックボードは、2018年6月に公園などの限られたエリアで実証実験が始まり、実用化に向けて本格的に動き出した。2020年10月には公道での実証実験に移り、翌2021年4月にはシェアリングサービスがスタートした。こうした実証実験によってデータを集め、安全に走行するためのルールづくりが進められた。それが法律として結実したのが、2023年7月1日に施行された改正道路交通法だ。

改正道路交通法では、従来の原動機付自転車が「一般原動機付自転車(一般原付)」「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」「特例特定小型原動機付自転車(特例特定小型原付)」の3種類に分かれた。
一般原付は、基本的にそれまでの原動機付自転車と同じで、法定最高速度は30km/時。運転するには、排気量50cc以下のものは第一種原動機付自転車、排気量50ccを超え125cc以下のものは第二種原動機付自転車など、排気量に応じた免許が必要だ。
電動キックボードなどの新たな電動モビリティを想定して設けられたのが、特定小型原付と特例特定小型原付の区分だ。
一般原付はガソリンを燃料とするエンジンで動くが、特定小型原付は電動モーターに限られる。法定最高速度は20km/時で、車体は長さ1.9m以下、幅は0.6m以下。ナンバープレート、最高速度表示灯の取り付けが義務付けられる。16歳以上であれば免許がなくても運転できる。電動キックボードが広まっているのは、これが大きな理由だ。
特例特定小型原付は、特定小型原付の中で最高速度が6km/時までのものだ。20km/時まで出せる特定小型原付は、歩道を走行できない。しかし6km/時までに限定されている特例特定小型原付は、歩道を走れる(「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識等が設置されている歩道に限る)。
3つのタイプに分かれる原動機付自転車
画面を拡大してご覧下さい。

電動キックボードは、最高速度20km/時のモードと6km/時のモードを切り替えられるタイプが主流だ。20km/時モードでは特定小型原付の扱いで、最高速度表示灯が点灯する。6km/時モードにすると特例特定小型原付の扱いとなり、最高速度表示灯がチカチカと点滅する。電動キックボードで歩道を走行できるのは、6km/時モードのときのみだ。時速6kmを超えるスピードでは歩道を走行できない。
多様化する電動モビリティ
最近広く使われるようになっている電動モビリティは、電動キックボードだけではない。モペット(モペッド)もその1つだ。モペットという呼称は「Motor」と「Pedal」を組み合わせた「Moped」から来ており、名前の由来通り、電動モーターとペダルが付いたモビリティとなっている。
同じように電動モーターとペダルが付いた乗り物に、電動アシスト自転車がある。電動アシスト自転車は、ペダルをこぐと電動モーターが作動する仕組みで、電動モーターだけでは自走できない。一方、モペットは電動モーターだけでも走れる。
モペットも、電動モーターだけで走行するモードと、電動モーターをオフにしてペダルだけで走行するモードを切り替えられるタイプが主流だ。当初、モペットは電動モーターで走るときは一般原付扱い、電動モーターをオフにしてペダルだけで走るときには普通の自転車と同じ扱いとされたが、2024年11月に道路交通法が改正され、ペダル走行時にも一般原付とみなされるようになった。それでも、原付と自転車の利便性を兼ね備えたモビリティとして人気を集めている。
その他、特定小型原付扱いで免許不要の三輪電動バイクや、ノートパソコンサイズのボードに車輪と電動モーターが付いた携帯可能なポータブルモビリティなど、様々な電動モビリティが登場している。
モビリティの電動化は、局所的なムーブメントではなく、社会全体の現象だ。東京モーターショーは1954年から約70年にわたって自動車の最新技術やデザインに関する情報を紹介してきたが、従来の自動車だけでなく電動モビリティまで広く扱うことを踏まえ、2023年からジャパンモビリティショーと名称が変更になった。
モーターで走行するEV(電気自動車)、エンジンとモーターの2つの動力で走るHV(ハイブリッド自動車)の登場により、自動車の電動化が進められた。そして、電動キックボードやモペットなどの登場で、自転車やバイクといった1~2人乗りのモビリティも電動化が進んでいる。個人の近距離の移動は手軽に電気でという時代が訪れつつある。
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