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2025年は"昭和100年"
時代背景の考察と昭和ブームの盛り上がり

2025年は、1926年の昭和元年から100年目に当たる。
政府は「昭和100年」記念式典を2026年に開催すると決定した。
若者や訪日観光客にも昭和ブームが起こる昨今、昭和を振り返りながら時代背景やビジネスのヒントを考察する機運がさらに盛り上がりそうだ。

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1926(大正15)年12月25日、大正天皇が崩御し、同日以後を昭和元年とする詔書が発せられた。2025年は改元から100年目に当たり、令和7年であるとともに昭和100年でもある。26年12月には、年号が昭和となってから満100年を迎えるに当たり、多種多様な昭和関連イベントが企画される。

昨年12月、政府は「昭和100年」関連施策関係府省連絡会議を設置した。昭和が満100年を迎える26年に政府主催の記念式典を挙行する。文書・写真・映像のアーカイブ化や昭和にゆかりのある建築物、産業遺産などの保存・公開、企画展示やシンポジウム開催などを実施する意向だ。
同会議資料には、昭和100年関連施策を進める上での基本的な考え方が記される。冒頭には「昭和の時代は、未曽有の激動と変革、苦難と復興の時代であった」とつづられている。昭和はまさに未曽有の激動と変革の時代だった。五・一五事件、二・二六事件を経て軍部が力を強め、日中戦争、太平洋戦争に至り、広島・長崎への原爆投下ののち太平洋戦争が終戦した。戦後の混乱から立ち直って高度経済成長期に入り、バブル崩壊直前の1989年に終わりを迎えた昭和は、未曽有の激動期というにふさわしい時代だ。

同会議資料の基本的な考え方には、「『昭和100年』を契機に昭和を顧み、先人の躍動に学び、昭和の記憶を共有することは、平成以降の生まれの世代にとっても新たな発見のきっかけとなり(略)希望あふれる未来を切り拓く機会になる」とも記される。
昨年12月、核兵器廃絶と世界平和を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞した。平和の大切さは、昭和からの大きな学びだ。
高度経済成長期には、側面として公害問題が各地で起き、解消すべく取り組んだ歴史もある。現在進められる環境問題、SDGsの取り組みにおいても、昭和の出来事からの学びは少なくない。

Z世代にも人気の昭和レトロ

昭和を学び取るだけでなく、楽しむ機運もある。一例が昭和レトロブームだ。
昭和を懐かしみ楽しむ動きは90年代にもあった。93年には、昭和のノスタルジックな雰囲気を再現した食堂街「滝見小路」が梅田(大阪市)にオープンした。99年には「昭和レトロ商品博物館」が青梅市(東京都)にできた。2002年には昭和30年代の下町をイメージした「台場一丁目商店街」がデックス東京ビーチ(東京都港区)内に設置され人気を集めた。
2000年代にも起きた昭和ブームは、主に中高年が自身の経験を懐かしむ傾向が強かった。05年には昭和30年代前半の東京を舞台にした映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が公開され大ヒットを記録した。07年には続編も制作された。

近年、昭和を全く知らない90年代中盤以降に生まれたZ世代も楽しむようになっている。きっかけの一つがクリームソーダだ。純喫茶と称される昭和の香りが漂う喫茶店へ行き、クリームソーダを飲む。緑、青、赤などの鮮やかな色が付いたクリームソーダは、平成・令和のカフェではほとんど見かけなくなっていた。Z世代には新鮮に映り、SNSに画像を投稿する若者が急増し流行している。

クリームソーダに続き、ホットケーキ、プリンアラモードといった昭和らしいメニューも若者の間で人気だ。若者は純喫茶を求めて、昔ながらの商店街にも足を運ぶようになった。東京・巣鴨の巣鴨地蔵通り商店街は"おばあちゃんの原宿"と呼ばれるが、現在は、若者からお年寄りまで幅広い年齢層が訪れる商店街に様変わりしている。

昭和の音楽も、Z世代を中心とした若者から人気を集める。70年代後半から80年代にかけて生まれた都会派ニューミュージック、いわゆるシティ・ポップが、2010年代後半から若者に広く支持されるようになった。
60年代から80年代の歌謡曲も、昭和歌謡として若者に人気がある。YouTubeには昭和歌謡にのめり込むZ世代による専門チャンネルもあるほどだ。乗じてレコード人気も高まりを見せる。過去10年間のレコード生産実績は年々上がり続けており、2015年には約66万枚だったが、24年には約5倍の約310万枚に達した。

オーディオレコード アナログディスク生産実績の推移

画面を拡大してご覧下さい。


              数値はすべて邦盤数量(単位:千枚・巻)、洋版数量(単位:千枚・巻)、金額(単位:百万円)の順
              2015年:362、300、1,175
              2016年:396、403、1,455
              2017年:537、526、1,916	
              2018年:520、596、2,077
              2019年:577、643、2,146
              2020年:670、425、2,117
              2021年:1,276、630、3,900
              2022年:1,406、727、4,336
              2023年:1,840、851、6,267
              2024年:2,036、1,114、7,887
出典:一般社団法人日本レコード協会「生産実績 過去10年間 オーディオレコード アナログディスク」

海外からの訪日客にも昭和ファンは多い。21年に昭和レトロをテーマに改装オープンした西武園ゆうえんちは、訪日客にも人気だという。昭和の雰囲気を濃く残した東京・新宿のゴールデン街には多くの訪日客が訪れ、純喫茶も注目を集めている。
昭和的な飲み屋であるスナックを回るツアーも話題だ。24年9月には、ツアーを企画するオンラインスナック横丁文化が、アサヒビール、JTB、松竹マルチプレックスシアターズと協業し、訪日客向けナイトツアーを開始した。新宿で映画鑑賞後、スナックへ移動してアサヒビールで乾杯し、街歩きを楽しむ。

平成、令和と時代が移り、社会は変わった。インターネットが普及し、スマートフォンが当然となり、人の仕事をAIが代替するようになった。発展によって便利になった部分は多いが、失われたものもある。デジタルカメラが主流の昨今、フィルムカメラを好んで使う若者も多いという。昭和ブームは、若者が"失われた何か"を求める動向かもしれない。
"失われた何か"の考察は、常に新たなビジネスの可能性を秘めている。昭和100年が契機となって、昭和ブームと新ビジネス誕生はさらに活性化すると見られる。

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