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いよいよ4月に開幕
「大阪・関西万博」が描く未来社会とは?

「EXPO 2025 大阪・関西万博」が4月に開幕する。最新の技術・テクノロジーによる未来像が描くのが、万博の意義の一つだ。今回の万博では、どのような未来の姿を見せてくれるのだろうか。

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大阪・関西万博の開幕が迫ってきた。日本で万博が開催されるのは、1970年の大阪万博から数えて6回目。2005年の「愛・地球博」以来、20年ぶりの万博開催となる。

大阪・関西万博の会期は、4月13日~10月13日までの184日間。大阪・此花(このはな)夢洲(ゆめしま)を舞台に、158カ国と9つの国際機関が会場に設置されたパビリオンで展示を行う予定だ。政府は、日本経済および大阪・関西を含む地域経済の活性化や、ビジネス機会の拡大による中小企業の経営強化により、約2.9兆円の経済波及効果を見込んでいる。

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            2025年大阪·関西万博で実現すること:1.最先端技術など世界の英知が結集し新たなアイデアを創造発信 2.国内外から投資拡大 3.交流活性化によるイノベーション創出 4.地域経済の活性化や中小企業の活性化 5.豊かな日本文化の発信のチャンス

1928年に締結された国際博覧会条約では、博覧会の定義として、人類の将来の展望を示す旨がうたわれている。1970年の大阪万博では、ワイヤレステレホン(現在の携帯電話)、リニアモーターカー、電気自動車などが未来の技術として披露された。今回の万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。未来社会の実験場をコンセプトにしている。

大阪・関西万博が描く未来社会は、早くも会場へ向かうモビリティから体感できる。万博期間中、大阪市中心部の中之島から会場のある夢洲まで、水素燃料電池船「まほろば」が運航する。この水素燃料電池船の動力源は、燃料電池で発電した電気とプラグイン電力だ。燃料電池システムでは水素と空気中の酸素のみを使い、運航時にCO2を排出しない。クリーンな未来の船だ。

陸上のモビリティも、未来を先取りする。Osaka Metroは、一般道における大型EVバスでの自動運転レベル4の認可を国内で初めて取得した。舞洲(まいしま)のパークアンドライドエリアから会場のある夢洲への一部区間で運行する。自動運転レベル4は、場所や天候、速度などの特定条件下という制限はあるが、自動運転システムがドライバーに代わってすべての運転を行う。車が自動運転化される未来がまた一歩、近づく。

そして、会場には「空飛ぶクルマ」が飛ぶ。型式証明手続き上の問題から商用運航は行われなくなったが、愛知県豊田市のSkyDriveなど4事業者がデモフライトを披露する予定だ。SF映画などで未来社会の象徴的なモビリティとされてきた空飛ぶクルマを、いち早く目撃するチャンスとなる。

脱炭素化を進める革新的技術も紹介

未来社会を構築するためには、持続可能性が欠かせない。大阪・関西万博はSDGsの先を見据えた「SDGs+beyond(エスディージーズ・プラス・ビヨンド)」をビジョンの一つとし、SDGsの達成目標とされている2030年以降の未来のために「EXPO 2025 グリーンビジョン」を策定した。
重要な要素が、エネルギーの脱炭素化だ。先に触れた大型EVバスの脱炭素化の試みをはじめ、会場内でも脱炭素化の新技術が紹介される。

森林は二酸化炭素を吸収し、地球環境を保つために重要な役割を果たしている。森と同じように二酸化炭素を取り除き、大気中の二酸化炭素濃度を下げる革新的な技術として注目されているのがDAC(Direct Air Capture)だ。
会場内の「未来の森」では、マイナス160℃の極低温を活用する新方式のDACによる回収試験を実施する。人工的には難しいとされている二酸化炭素の回収がDACによって行われ、ドライアイスになる様子を見学できる。

太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変える太陽電池は、発電時に二酸化炭素を排出しない、クリーンな発電方式だ。しかし従来の太陽電池は硬くて重く、設置場所が限られるという問題があった。そこで次世代の太陽電池として期待が集まっているのが、日本で発明されたペロブスカイト太陽電池だ。

ペロブスカイト太陽電池はペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を発電層に用いた太陽電池だ。軽く柔軟性があり、塗布も可能で、様々な場所に設置できる。
特に、万博が行われる大阪はペロブスカイト太陽電池の開発が盛んだ。積水化学工業は、極薄フィルムにペロブスカイトを塗ったフィルム型のペロブスカイト太陽電池を開発している。万博会場西ゲート近くのバス停の屋根には同社が開発した縦2メートル×横1メートルのフィルム型ペロブスカイト太陽電池が257枚設置され、バス停で利用するLEDライトの電力をすべて賄う計画だ。
同じく大阪発祥のパナソニックホールディングスは、ペロブスカイトをガラス建材と一体化させた「発電するガラス」を開発。この画期的な太陽電池は、同グループのパビリオン「ノモの国」で見られる。

未来社会のインフラとして欠かせないのが通信インフラだ。爆発的に増大している情報をスピーディに送信して処理するネットワークが、これからの社会の鍵になる。注目されているのが、NTTグループが開発を進めている次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」だ。IOWNは光技術を活用した通信基盤で、電気信号に変換することなく、光信号のままデータ通信を行う。大容量のデータを高速、低消費電力で送られるのが特徴だ。
大阪・関西万博の会場ではIOWNで各施設を結び、豊富なコンテンツ体験を提供する。

大阪・関西万博の会場予想図

コンセプトは「未来社会の実験場」(2025年日本国際博覧会協会)

万博では、各国のパビリオンで多様な文化や特産品に触れるのも大きな楽しみだ。会期中には国・地域が開催するナショナルデー、国際機関が開催するスペシャルデーがほぼ毎日開催されて式典と文化イベントを鑑賞できる。会場はアミューズメント、エンタテインメントにあふれている。
しかし、会場の各種施設や企業のパビリオンを中心に日本発の先端技術が見せる、未来の社会の姿にもぜひ注目したい。

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