トレンドを読み解く今月の数字
ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。
- SDGs
- ジェンダー
- 食品ロス
- ジャパンSDGsアワード
18位
~SDGs達成度ランキング~
Number Of The Month
Font "DSEG" by Keshikan. SIL Open Font License 1.1

2015年の国連サミットで採択されてからまもなく10年を迎えるSustainable Development Goals(SDGs)。世界が抱える多様な問題を解決し、30年までに持続可能でより良い世界を目指す開発目標だ。
目標の達成度合いは、毎年SDGsに関する国際的な研究機関「SDSN」(※1)によって発表される。24年の日本のランキングは167カ国中18位。17年に最高位の11位をマークして以降、徐々にランキングを落とし、23年には166カ国中21位となったが、24年は3ランクアップした。
ただ、17の目標のうち取り組みへの4段階の進捗評価(※2)で達成済みとなったのは「産業と技術革新の基盤をつくろう」の1つのみ。逆に「深刻な課題がある」とされた目標が5つ、「重要な課題がある」についても6つに上る。ちなみに「深刻な課題がある」とされたものには、ジェンダー平等の実現や、海や陸など天然資源の保守が含まれている。
大企業だけのものではない
実はSDGsの達成度合いは世界的にも停滞している。24年時点で17目標の下にある169のターゲット(小目標)のうち、進捗が軌道に乗っているのはわずか16%。一方、残りの84%は進捗が限定的か後退している。取り組む国々における格差も課題だ。食品ロスで毎日10億食分が廃棄される一方、飢餓に苦しむ人々が何億人もいる状況だ。現在の傾向に変化がなければ、30年には5億9000万の人々が極度の貧困生活に陥るとされる。
厳しい状況にあるが、より良い世界を築くためには取り組みを継続しなくてはならない。SDGsというと自治体や大企業が関与するものと捉えがちだが、取り組む企業の範囲は広がっている。東京にある化学系の会社は、活動の詳細を「中小企業がSDGs?」という動画にまとめて発信。自社製品に用いる素材の脱炭素化などに取り組み、23年に「ジャパンSDGsアワード」(※3)で、民間企業として初の内閣官房長官賞を受賞した。新年度が始まる今、まずは自社の事業と照らし合わせながら、SDGsについて改めて考えてみてはいかがだろう。
- ※1SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)。SDGsに関する国際的な研究組織で、SDGsおよびパリ協定の推進に取り組む
- ※2SDGsの17の目標ごとに「達成済み」「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」の4段階で、各国の取り組みの進捗が評価される
- ※3SDGs達成に向けた企業・団体等の取り組みを促進し、オールジャパンの取り組みを推進するために創設。2023年に内閣官房長官賞を受賞した雪ヶ谷化学工業は民間企業では初の受賞となる
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